プレミアムネムネム

グレース・オブ・ゴッド 告発の時のプレミアムネムネムのレビュー・感想・評価

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子供の頃に神父から受けた性的虐待を、大人になってから訴える話。
1971年〜1991年という約20年間もの期間に10歳未満の子供へ性的虐待をした「プレナ神父事件」という実在の事件を映画化したもの。

フランソワ・オゾンの作品はいくつか観てきたが、個人的に一番精神的ダメージが強かった。疲れた。
裁判の話かと思いきや、これはひとりひとり性被害を受けた子供の人生の話だ。自分の子供の将来のために闇に葬ってはいけないという者、もう話したくないという者…。

過去はもう呼び戻せないとバルバランは述べたが、じゃあ過去の被害によって現在も苦しめられているのはどうすればいいのだろうか。苦しいという今の感情すら過去の幻だというのだろうか?流そうと、無かったことにしようと第三者が言うのはあまりにも滑稽だ。
過去も現在の一部であるのに。そもそも過去ではないのに。

「隠蔽はしていない。神の恩恵により時効を迎えた」
バルバランが終盤で述べたこのセリフ。性的虐待の二次被害はこうした事なかれ主義によって引き起こされるのだな。


一番ショックだったのは2020年1月に裁判が開始された、ということ