よる

システム・クラッシャー/システム・クラッシャー 家に帰りたいのよるのレビュー・感想・評価

4.5
観てよかった。けどとてもしんどい。

突発的な怒り(癇癪というか、とにかく火がついたかのように暴れる、叫ぶ)を制御できない子供の話。
あらすじを読んでから行ったが、通学付き添い人と接して変わっていく話かと思っていたらまったくそんなことはなくて本当になにも解決しなかった。驚いた。
主人公を助けようとするいろんな大人が出てくるし、彼らがやっていることは間違っていない。情熱もある。それでも主人公は「更生」できなかった。「システムクラッシャー」の名の通り、現代社会のシステムを主人公はことごとく破壊していく。

最後まで観て、もうどうしようもないなと諦めの境地に至ったのだが、エンディングで流れる歌に横っ面を殴られたような衝撃を受けた。
主人公は本当に「何も持たない(向こうから離れていく)」が、「生きている」のだ。
身体があって、命が宿っていて、考える脳もある。それだけなのに、鼻つまみ者になってしまう存在。
社会が悪いのか。いや、集団生活をする以上、規律は大切だ。主人公は十分に福祉に繋がっていた。それ以上にできることはもうないだろう。誰であれ、主人公自身でさえ、もうなにもできることはない。

ラストシーン、明確な結末は描かれないが、あの軽快な音楽と、主人公の心からの笑み。そこに幸せを見いだせたなら、本当に良かった。

二度と見たくないが、本当に観てよかった。
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