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システム・クラッシャー/システム・クラッシャー 家に帰りたいのyuzameのレビュー・感想・評価

3.0
強烈な話だった。
ドキュメンタリーかと思うほどの
リアリティ。

子供が、「家族が欲しい」と望む時に
社会がどこまでできるか。

個と個、パーソナルな
特別な関係を望む子供に
「社会」がどこまで向き合って
付き合えるか。
ここまでだったら手に負える
というラインを
ガンガン越えてくる。

この物語の主人公が男の子ではなく
女の子な事は、
受け手の印象に
大きく影響を及ぼすと思った。
男の子だったら、もっと単純な
幼さからの衝動に見えただろうし、
暴力的な様子への衝撃度も
少なかったと思う。
女の子である事で、
自我の発達もそれなりにあって
自覚的な部分も大いにあると感じさせる。
だから制御不能に陥る彼女の様子が
より恐ろしく見えた。

凄まじいエネルギー。

ママが、あの子が怖いと言うのも
とても良く分かる。
けど、やっぱり
あなたは逃げちゃダメだよなんて
言いたくなるけど、
さっさと逃げた父親よりは
ちゃんとしてるとも言えるし
逃げちゃだめだと追い込んだら
最悪の決断を選択するかもしれない。
そうならないための福祉でもある。
(翻って日本は、
家族に背負わせようとするし
自身も背負い込もうとする国だ)

誰かをケアすることの厳しい一端を見た。
この作品は子供だったけど、他にも
老人、障がいを持った人など
ケアを必要とする人達に対して
ケアする側は、それなりの態度を求める。
黙って言う事を聞くよう望んだり、
感謝を強要したり。

ミヒャは良くやってた。もの凄く。
でも家族を望まれても
それは無理だもんね。
追いかける事をやめたミヒャ。
多分このまま彼女と深く接していると
彼女を傷つけ、いや殺してしまうかもって
思ったんじゃないかな。
自分が壊されてしまうかもって。

凄くテレビを見たがってたけど、
制限せずにずーっとテレビを見せておけば
大人しくしてくれた、なんて事はないか。

ピンクの服と
輝くばかりのブロンドヘアが印象的。
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