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システム・クラッシャー/システム・クラッシャー 家に帰りたいのWNTのレビュー・感想・評価

3.9
9歳のベニーは怒りをコントロールできない。
母親はベニーをどう愛したらいいか分からず、彼女は施設に預けられていた。
預けられる先々で彼女は問題を起こしてしまい、これからどうすればいいのか職員たちが頭を抱えていた時、非暴力トレーナーで通学付き添い人のミヒャはベニーに3週間山小屋で隔離療法を受けさせる提案をする。

母親に愛してほしい、自分だけを見てほしい。
思い通りにならないと感情より先に手が出てしまうベニーは不器用で愛に飢えている。
自分を絶対的に愛してくれる親を求めているのに、皆自分から離れていく虚しさから暴れる彼女を見ていると辛くなる。

大人は彼女を救えるかもしれないと思い何度も手を差し伸べるけれど、ベニーの問題はもっと根深くて、誰も彼女を救えないのかもしれないと思ってしまった。

映画なのだけれど、ドキュメンタリーを観ているような感覚になった。
同じことを繰り返す日々、ベニーを助けようとする大人たち、ベニーを受け入れたいけれど怖くて受け入れられない母親。

ミヒャとベニーが過ごす時間は微笑ましかったけれど、そんな時間も突然終わりを迎えてベニーの行動にゾッとしてしまった。

ベニーのような子どもたちがそのまま大人になってしまったらどうなるのか。
その後のことまで考えてしまう、考えさせられる映画だった。

主演のヘレナ・ツェンゲルのキリッとした瞳と透明感ある美しさが綺麗で見惚れてしまう。
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