ゾーイ・カザンのファンなので迷うことなく視聴。
現代社会が孕む既存の問題を要所でキャラクターとして具現化する。困窮する現実に抗う術は人間の中にある、他者を思いやる心にしかないと、逆説的に言い切るシビアさに胸打たれた。度重なる偶然の邂逅にだけカタルシスが訪れない演出もアイロニカルに感じる。
こんなにもひどい社会で人々が生きていけているのは、自らが自らの力、或いは見返りのない慈悲で成り立っている。それらを持っていない人はこの映画の結末を迎えることなく最後の時を待つだろう。
映像的な工夫、演出は今ひとつ。