kmaru

イエスタデイのkmaruのネタバレレビュー・内容・結末

イエスタデイ(2019年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

昨日までと同じ凡人でありながら、天才としての名声を手に入れてしまった男の話。
明るい気分になりたい時に見るにちょうどいい映画かも。

自分の不才と現実の栄光とのギャップ、天才の孤独、金によってくる人々への嫌悪と名曲を汚す後ろめたさ、「いつかバレるのでは」という恐怖と、色んな感情が描かれていてハラハラしました。

が、ストーリーは「才能が開花→孤独→名声を得ることによって、栄光と身近な大切なもの(家族とか)との選択を迫られる→最後は身近なところに落ち着く」といあオーソドックスなもので、特に驚くべき展開もなく、良くも悪くも安心して見ていられました。

天才の孤独を描く、というのは、サクセスストーリー的な映画の基本であり、本作でもこの王道に則った描写です。

本作の面白いポイントはそこに後ろめたさやノスタルジーというエッセンスを加えたこと、そして何より「本人は凡庸でありながら天才の座に上り詰めたこと」という、なろう系小説みたいな設定をやったことなんですが、凡人ゆえの葛藤とかは特に深掘りされてなかった。
あったとしても自分の曲がボツられる30秒くらいのシーンくらいであり、もう少し丁寧に描いて欲しかったところ。

あるいは「自分はこの曲をこの世界に伝えるんだ」みたいな使命感でやっていくのもありだった。ちらっとそういう顔つきをしなかったわけでもないけど、結局はプレッシャーに耐えかねて放り出してしまった。まあ結局中身は凡庸だったという意味ではそりゃそうなんだけど。


また、ビートルズを始め、歴史に名を残した名曲はその時々の社会情勢や経済状況を反映した、まさに文化の結晶だ。
こういう側面への敬意を抜きにして、音楽単体でポンと出されて、「凡人が出したものでも、名曲だからとんでもなく売れました!」というストーリーは、こち亀でいいじゃんという気にはなります。

ちなみに恋愛パートは女優のリリー・ジェームズさんが美しいという感想に終始しました。自分勝手な悪い女やでこいつ。
なお2人の恋愛模様はモンパチの『小さな恋のうた』で代用可能です。
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