Yuya

イエスタデイのYuyaのレビュー・感想・評価

イエスタデイ(2019年製作の映画)
5.0
なぜ 題材がビートルズだったのか…
そこに ビートルズが唯一無二のバンドである
純然たる答えが ファン目線ではっきりと提示されていた
楽しく 美しく 素晴らしい楽曲を残したアーティストは なにもビートルズだけではない
しかし 世界や 後世のバンド ファン一人一人に与える影響力において ビートルズを超える存在というのは 思いつかない

そこには 等身大の人間としての苦悩や哀しみ
後悔や懺悔が 確かにあって いつだって僕らの心に 誠実さと真実を問いかける
ビートルズの音楽に 何度冷や汗をかき 何度自分を見つめなおし 何度救われたんだろう…

ビートルズの楽曲を手に入れ スターになった男は
自分の力ではないのに得た地位や名声に
激しく苦悩し 時に悪夢にうなされ
立ち去った彼女を想い (She have to go)
自らの間違いと向き合い (Something wrong)
誠実であろうとする(I’ll always be true)
それは ビートルズのファンであるがゆえの
自分がただ自分であるだけの大切さを知る
“生きる”メッセージだ
ビートルズがいなかったという事が 世界に自分にどう影響してるかの描き方が 非常にユーモラス

ジャケットの『アビーロード』も 実に意味深
夢を次に繋げ進める為に 終焉に名高い『Let It Be』のレコーディングを一度全て破棄した史実を引用して 急がず求め過ぎず 今一度自分を捨てる勇気を 主人公に宿らせたのかもしれない
いつか自力でアビーロードを歩く夢を見て
そこが観光コースと知り 修学旅行への参加をやめてしまったカナダの少年を ポールが褒め讃えたエピソードを思い出した
“ビートルズが教えてくれた”コトって たぶんそういうものなんだろうな

そして エピローグ的にまさかのあの人の登場で 物語は核心へと向かう
そこでの何気ない会話とあの秘密こそ あるいは真実だったように思える

いつの時代 どこの世界でも
年齢も 人種も 宗教も 性別も 貧富も超えて
ビートルズが愛されている理由の答えは とても簡単なんだ
ビートルズを好きでいるという事は
ビートルズの痕跡を追い求める事でも
ビートルズの真似をする事でもなくて
本当の自分を探し続け 知り 誰かを愛し そして
あるがままの自分自身を愛する事だからさ
この小さな部屋で レコードに針を落とし アビーロードに目をやる
たったそれだけの事で こんなにも幸せを感じられる
そんな自分で良かったと いつだってビートルズに感謝してんだ
きっとこうゆう奴が世界中に死ぬほどいるんだぜ!

もう小ネタを挙げたらキリないけど エド・シーランの自虐っぷりも 清々しかった
主人公をモーツァルトに 自分をサリエリに例えるあたり
あれ絶対自分のパクリ疑惑をネタにしてるよね
彼もまたビートルズを愛してるからこそ ありのままの自分をダサくも見せられるんだろうね
“Definitely”を繰り返したり “mate”の言い回しも やっぱり英国の系譜かな

今夜はちょっと あえてビートルズではなく拓郎を聴くか…

みんな 幸せになっていいんだ
人に迷惑さえかけなければね
それも自由だと ビートルズは教えてくれた