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男はつらいよ 寅次郎恋やつれのぉゅのレビュー・感想・評価

3.9
2020年 鑑賞
BSテレ東にて、テレビ初放送の4Kでらっくす(4Kデジタル修復版)での一挙放送にて。15/50作目。

寅さんが結婚をして、柴又のとらやへ帰ってくるが、おいちゃん、おばちゃんが息を引き取っていたという夢から始まる。

おいちゃんの夢枕。寅さんとさくらの父が亡くなった時も出てきたそう... 寅さんも結婚報告に帰って来ると... するととらやに帰ってきた寅さん。寅さんの島根の話。絵が浮かぶ語り口調。さすが!“大事な発表”があると... で、寅さんの結婚の噂が、柴又を駆け巡る。
寅さんは島根の温泉で知り合った絹代(高田敏江さん)と結婚を考えていると... でもいい一悶着... で、寅さんとさくらとタコ社長の3人で、島根に会いに行くが... 絹代さんに蒸発したと思われていた夫が戻って来ていた... 失恋した寅さんは、島根を飛び出し、そのまま旅へ...

偶然寅さんと再会したのは、図書館で働いている、今作のマドンナ・鈴木(旧姓:高見)歌子(吉永小百合さん/第9作目「柴又慕情」のマドンナでもある)。芸術家の夫と結婚したが、前年に夫が急死。現在は未亡人だそう...
柴又を訪れる歌子。「歌子さんの前で、夫とか亭主とか旦那とか言うんじゃねぇぞ!博は死んだことにしろっ!」に、相変わらずの「バター」に爆笑。が、歌子は涙。それ見て、寅さんも私も涙... きっと、夫の死からずっと気を張っていて、それがとらやで緩んだんだろうなって...
歌子の気がかりが、父・高見修吉(宮口精二さん)とのことであった。夫の葬式には参列してはくれないし、歌子を精神的にも支えてはくれなかったと... やっぱりさくらはできる女性(ひと)だなぁ... 歌子と修吉の橋渡しを。

人の幸せとは?お金を持っているから?... ただ何でも言い合える家族や友達や仲間がいればいいんじゃと、思う。あと自分だけの幸せを考えちゃいけないのかなとも思う。
修吉さんの言葉、ひとつひとつが染みるし、泣ける。宮口精二さんらしい、口下手で不器用な父親像だった。私も口下手な方で、余計に染みた...

歌子は新たに幸せを掴むため、伊豆大島の施設へ。なんか安心したような寅さん。そして、旅へ。「兄ちゃんは恋をしたんじゃねぇ ただ、あの人が幸せになればいいな そう願っただけよ」とあるように、今回はマドンナに失恋したわけではなさそうだ。が、13.5のマドンナ・絹代に失恋。という超変化球の一作。

二代目おいちゃん、松村達雄さんが、病気のため、この作品で降板される。初代おいちゃんの「バカだねぇ〜」はほとんど発しないが、松村さんらしい、ひねりの効いたおいちゃんに魅せられていた。本当短いおいちゃんの期間だったが、元気になった後も、おいちゃんではない役でも出演されているそうで、それも楽しみたい。2005年の遺作となった「解夏」まで駆け抜けていた姿に感動です!遅くなりましたが、御冥福をお祈りします。

“わたしの寅さん、ぼくの寅さん”に寄稿された高橋陽一さん(漫画家)。「男はつらいよ」の魅力は、誰にでも愛される寅さんのキャラクター。そういう意味でも僕たち漫画家は参考にさせて頂いています。破天荒な面もあるが、単なる正義と悪で測れない男の生き方を感じられて、そこが魅力だと思います。と、おっしゃていた。まさか「キャプテン翼」にも、寅さんの面影が!幼少期から、寅さんの面影があったためか、こんな大馬鹿野郎でも、すんなり心を掴まれ、“フーテンのにわか”になれたんだろう。高橋先生、ありがとうございます!これからも、「男はつらいよ」と、「キャプテン翼」他漫画を愛し続けます!

1043(20-175)
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