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アンダー・ユア・ベッドのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

アンダー・ユア・ベッド(2019年製作の映画)
4.0
雨の日の無人のエレベーター。誰かの香水の香りが残っている。俺(高良健吾)は思い出す。
この香り……、11 年前、たった一度だけ名前を呼んでくれた佐々木千尋(西川加奈子)のことを。親からも学校のクラスメイトからも誰からも名前すら憶えられたことのないこの俺を「三井くん」と呼んでくれた時のこと。俺は人生で唯一幸せだったあの感覚にもう一度触れたいと思い、彼女を探し出すことにした。
家庭を持った彼女の家の近所に引っ越し鑑賞魚店を開店し、自宅に侵入、監視、盗撮、盗聴、彼女の近くで全てを覗き見ていたいと思った。
だが、俺の目に映ったのは、全く別人に変わり果てた姿だったのだが、偶然千尋が三井の鑑賞魚店にグッピーを買いに来たことから、再び三井と千尋は交錯し始める。
大石圭のサスペンスホラー小説を映画化。
父に置き去りにされ、クラスの卒業アルバムの撮影の時でさえ忘れさられた三井が、唯一自分の名前を呼んでくれた千尋に、もう一度自分の名前を呼んで欲しい覚えていて欲しいあまり、住居不法侵入や監視や盗撮し道を逸脱していく様を、主人公のネグレクトされた過去や妄想が交錯していきながら描かれていく展開は従来のストーカーものやホームインベーションもののテンプレ通りだが、終盤の千尋目線で描かれる展開は、違法な手段で見守る三井に奇妙な安心感や温もりを感じている千尋の心情が奇妙な女性目線なのがユニーク。
三井にとってハッピーエンドなのか、モヤモヤするオチもビターな後味だし、高良健吾と西川加奈子の熱演が印象的で変態的偏愛と純愛が紙一重なサスペンスホラー映画。
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