トランスマスター

五億円のじんせいのトランスマスターのレビュー・感想・評価

五億円のじんせい(2019年製作の映画)
3.0
Filmarksオンライン試写会にて

【アンダーグラウンドお仕事図鑑】

幼少期に重い心臓病のため5億円の寄付を集め海外で心臓移植した17歳の少年が主人公、毎年開かれる町内のパーティーや、TV中継により寄付した善意ある人々の理想に沿うように生きていて息が詰まり自殺願望を持つように。そこである出来事をきっかけに旅にでて成長していくお話です。

◆良い点/注目ポイント
・18歳に満たない高校生はなかなか時給の高い職場もなく、苦労するのが現実。夏休みの家出少年・少女への警鐘としてアンダーグラウンドな仕事への入口や現実を映像化することは、価値があります。文化庁が助成しているのも納得です。
・周りの人間の描き方とその人々への主人公の反応が、よく表現できています。善意で寄付してくれた人々の自分の善意に対して酔っている表情にうんざりしている反面、心臓移植の有名人としてではなく搾取してやろうという連中の方が、主人公には未知の体験で新鮮だったのと思います。そして後者と過ごしている方が、冒険であり本人も成長しています。
・白いクライスラーに乗っているアニキのゆるーい話し方や、半グレ詐欺集団をお仕置きしたり、主人公をカタギに戻そうとするところなど。カリスマ性に溢れています。優しい人の定義のくだりも良かったです。

◆改善点
・伏線の回収もそれなりにできていて良かったけど、ミラクルはない方がもっと良かったです。

◆総括
・邦画では珍しく登場人物がiPhoneを使用しており、電卓計算シーンなど新鮮でした。家出で知り合った人々の方が主役のような映画でした。白いクライスラーのアニキは山田孝之だったら+1点追加。

-2019年118本目-