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トールキン 旅のはじまりの一人旅のネタバレレビュー・内容・結末

トールキン 旅のはじまり(2019年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ドメ・カルコスキ監督作。

「指輪物語」の作者:J・R・R・トールキンの半生を描いた伝記ドラマ。

ピーター・ジャクソンによって映画化されたことでも有名なファンタジー小説「ホビットの冒険」及び「指輪物語」の作者として知られる英国人小説家:J・R・R・トールキン(1892-1973)の半生を描いた伝記映画で、ニコラス・ホルトが主人公トールキンを力演している他、ヒロインをリリー・コリンズが演じています。

実在の小説家:トールキンの少年期~青年期を事実に基づき描いたもので、敬虔なカトリック教徒だった母親の急死、バーミンガムの名門校:キング・エドワード校への入学と親友3人と共に結成した秘密結社「TCBS」での交流活動、3歳年上のヒロイン:エディス・ブラットとの邂逅と恋愛関係への発展、オックスフォード大学への進学と言語学の更なる探求、そして突如勃発した第一次世界大戦・フランス戦線での過酷な戦場サバイバル―と、トールキンが歩んだ波乱の半生を、家族・友情・愛情・戦争―と人生のターニングポイントをピックアップしながら克明に描き出していきます。

「フランケンシュタイン」の著者:メアリー・シェリーの半生を描いた『メアリーの総て』(17)のように、少年期から青年期にかけて様々な体験を重ねた主人公トールキンが1937年発表の代表作「ホビットの冒険」を書き上げるに至った“創造の源泉”を波乱に満ちた彼の前半生を通じて提示してゆく作劇となっていて、3人の親友と築いた固い友情や生涯の伴侶となる最愛の女性との関係性、そして親友を奪った悲惨な戦争体験がトールキンの後の創作活動に多大な影響を与えていった事実を、彼の“想像上の産物”が現れる幻想的風景を交えつつ明らかにしています。

主演のニコラス・ホルトやヒロイン役:リリー・コリンズを始め英国出身の役者陣の健闘が光った伝記ドラマで、20世紀前半の英国喫茶やキング・エドワード校及びオックスフォード大の構内の様子も忠実に再現されています(大学の芝生の上を歩くのは教授の特権であったという豆知識付き)。
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