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トールキン 旅のはじまりのZumaのレビュー・感想・評価

トールキン 旅のはじまり(2019年製作の映画)
4.1
偉大な指輪物語の生みの親J.R.R.トールキンの形成と過程。

自らの言語を生み出すほどの感性と知識の深さには、観ていてとても楽しく天才だな天性の作家だなと納得させられた。言語学者、あまねく世界各地の多様な言語、言語という人間特有の文化は、とても興味が持つことができる題材であった。

様々な人物の伝記でも、大概子供の頃から周りとは違う行動や言動を取りおおくは、変人扱いされる。天才の頭の中と言うものは非常に興味深いもので近年脳科学者の、研究対象の的になっている事は言わずもがなである。

しかし、そのような人がいるからこそ素晴らしい作品が生まれたり、また、共有できる人がいた時にかけがえのない存在になるのだ。



また、英国の身分制度は、やはり根強いもので頭が良いだけでは大学へ行けない。
資本主義、人間差別がある以上全ての人が平等であるというのは難しいことであるのは理解している。(無論、語れるような知識もないので余計な口出しは出来ないし、しても何も変わらないのだが…。)
今ある現状を受け入れ、それを踏まえてこれからどうしていくのかが大切なのである。
しかし、時は世界大戦中。猛威を振るうドイツ軍の侵攻を止め、英国は英国としてひとつの塊になる。世界平等ではないが、戦時中では、身分家柄も関係なく強く頭の切れるものが生き残る。


要するに、戦争の場は良くも悪くも中立なのである。時代が変わろうとする時は、少なくともそのような中立の場が現れる。それこそが常にあるべき世の姿だ。

その変換点に置かれたトールキンは、渦巻く様々な状況や感情の中で、後の指輪物語の幻想を見る。そのシーンがとても印象的で心の奥底のナニかを確実に揺り動かしたのである。

それを、踏まえて「ロード・オブ・ザ・リング」,「ホビット」の再鑑賞がますます楽しみだ。
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