れおん

スキャンダルのれおんのレビュー・感想・評価

スキャンダル(2019年製作の映画)
4.3
FOXニュースを創設し、テレビ業界の重鎮として君臨していたCEOロジャー・テイルズがセクハラで提訴された。訴えたのは、元人気キャスターのグレッチェン・カールソン。メディア界に根強く存在する、名声・富・権力の縦社会。女性は声を上げられない。声を上げたら、キャリアを失うから。従ったら、すべてを手に入れられるから。

シャーリーズ・セロン、ニコール・キッドマン、マーゴット・ロビー。キャスターとして、這い上がるために。そして、キャリアを伸ばすために。
彼女たちは選択を迫られる。正しいことではないとわかっていても、そうしなければならなかった。

緊張感がすごい。特別セリフもなく、ただ目線だけの演技のシーン。言葉にできないもどかしさ、苛立ち、不快感。演出とカメラワークが素晴らしく、まるでドキュメンタリーのような、リアルさ。

汚い世界。名声を得て、富を培い、権力をも手に入れると、人間はどこまでも汚くなる。欲に溺れ、自らに従うものだけを優遇する。すべてを手にした特権なのか。人間は弱くて、醜い。
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