さく

スキャンダルのさくのレビュー・感想・評価

スキャンダル(2019年製作の映画)
3.3
Metoo運動やワインスタイン以前に実際にあった、テレビ局トップのセクシュアル・ハラスメント告発が話の本筋。そのテレビ局というのが保守的で偏った報道をするFox。それ故、告発した勇敢な彼女達も、大衆の差別心・憎悪を煽る報道に加担しているという事実が頭の片隅にあり、「それはそれ、これはこれ」とうまく割り切れずもやもやした。

最近BLM関係の作品を多く見ているが、本作も「差別と搾取は、そこから得するものが作り上げた悪しき体系の上に成り立っている」という事実を描いていて近しく感じた。本当なら互いを助け合える存在同士が、憎しみ合い、競い合うことで、「搾取する者」が守られている。

マーゴット・ロビー演じる若手社員は架空の人物ではあるけれど、彼女のように親からキリスト教&共和党支持を引き継ぎながらも、リベラルな思考を兼ね備えているって人は割と多そう。彼女のように、フィルターにかけられ美化されていた保守派の世界へ入ってしまった人がたくさんいるんだろうか…。マーゴットの場面や表情やセリフには本当に胸が潰れる思いだった。脇役まで豪華キャストだから、一瞬出てくる人も表情や演技で語っていて素晴らしい。
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