くわまんG

ブルータル・ジャスティスのくわまんGのレビュー・感想・評価

ブルータル・ジャスティス(2018年製作の映画)
4.5
あらすじ:“金持ちになりたい理由”が同情できるものであったとて、他人の人生を踏み台にした先に、ハッピーエンドを迎えられると思うか?

悪党と悪党と悪党が、盗んだ大金を奪い合う…というお話。

80分で終わる脚本を、大筋とあまり関係無い長々とした会話劇で倍化させた怪作。これが、冗長とは似て非なる長々で、深々と感情移入させられるんですねぇ。

しかも、わりと端役の背景まで掘り下げるので、移入先過多です。なのに散漫になってないのは、全ての人間交差点が行き止まりだからでしょうか。

本編の勢いを犠牲にしてまで時間を割いた会話劇は、何度も噛み直せる味わい。シリアスな局面でもフフッとなってしまう軽妙さや馬鹿馬鹿しさがあったり、その逆だったり。おかげで、中弛みとは無縁の160分でした。

前触れなく粛々と行使される暴力の描写や、クライマックスだけ大音量で流れる劇伴も印象的。起きている事実の大きさと、登場人物の心の動きの大きさとが、甚だズレていることを表しているのかもしれません。

オープンエンディングなのも良いですね。人のために惨殺された二人が悔いなく笑顔で散っていった一方、強奪した金で悠々自適な兄は恐怖に付き纏われ安心して笑えない。見事な因果応報です。