人間の性衝動を創作テーマにしている女性写真家（前原祐子）が、日常に潜んでいる痴漢常習犯と露出カップルを被写体に捉えようとする。性倒錯者の奇行を軽いフットワークで描いている、新東宝配給のピンク映画。

本作に登場するヒロインは、「性衝動の波及力」を考究している女流カメラマン。とりわけ、男性側の心の機微をクロースアップさせており、「痴漢しているときの男の表情に性衝動の根源を探る」という、職人脳を働かせるところが醍醐味となっている。

満員電車での痴漢行為を常習している2人組の中年男、高刺激のセックスを追求している若者カップル。この両者の性行動を別々に展開させながら、ヒロインとの接点を作っていく構成がとても面白い。

カメラのファインダーを利用した窃視行為、それはすなわち写真を見ている他人にも見られる行為。非道徳的な行動に精神的充足を求めるという、バタイユのエロティシズム論にも通じる、絶対普遍が内包されている作品。

鑑賞順と製作順がテレコになりましたが、先に観た『痴漢電車 早くイッてよ！』と比べると、お話の中身はより単純になって⇒ほぼほぼ濡れ場の数珠繋ぎ、みたいな感じではありますかね（女のコも２⇒３人に増えてますし）。前原祐子さんは無論、個人的には秋本ちえみさん（て方）も好みのルックスとゆーか、レズシーンやら３Ｐやらでエロの質・量は悪くなかったとは思うのですね。しかし『早くイッてよ！』に比べても痴漢行為に絡む濡れ場が多いってのには、キョウビはやや共感し難いって感じであるかとも思いますし、大まかにどっちがより面白い…てな感じでもね～かな～と思ったコトも含めて一旦同じ評価としておきます。重ねて、エロとしては全然（嫌いじゃなければ）悪くはなかったと思うのですケドね。

水を浄化させる錠剤入れたり裸のセルフポートレート撮るチャイナドレスのカメラマン前原祐子さん最高すぎる。前原祐子大好き。編集者池島さんのリアルエロをきっちり捉えるさすがの浜野監督の剛鉄フェミニズムにひれ伏す。エロ本撮影で責められる山本竜二さんラストの写真色々も良い。原案出演の小多摩若史はおたまじゃくしって読むのか。漫画家なのか。へえ。どう考えても2006年ではない。