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大菩薩峠のHKのレビュー・感想・評価

大菩薩峠(1960年製作の映画)
3.5
何度も映画化されている時代劇長編をCS録画で初鑑賞。
今回観たのは大映の市川雷蔵版。監督は三隈研次。
本作は三部作の第一部。
モノクロかと思ったらカラー、しかもデジタル修復版でキレイ。

冒頭、大菩薩峠(山梨県甲州)の頂上。
いい天気で富士山は見えるし日本猿もいて小川のせせらぎがのどか。
と、いきなり編み笠の浪人(雷蔵)があらわれ通りすがりの年老いた巡礼を一刀両断。
有名なのにどんな話か全く知らずに観ましたが、まさか辻斬りが主人公とは。

この主人公の机竜之介(雷蔵)、元甲賀一刀流の剣士で「音無しの構え」により無差別殺人とも言える凶行を繰り返します。
2年後に始まる『眠狂四郎』シリーズにも通じる美男のニヒリスト剣士の元祖だとか。
新選組(近藤・土方・芹沢)も物語に絡んできます。

殺陣の際に今みたいにズバッ! ブシュ! シャキーン!という派手な効果音は無く鈍い叩くような音だけですが、刃についた血のアップも相まって却ってリアルに感じる不思議。

主演は雷蔵(当時29歳)の他、その妻他二役(お浜/お豊)の中村玉緒(当時20歳)。
まだ若く声も可愛らしくグフフとは笑わないものの、恐ろしい悪女役も使い分けていてさすが。
竜之介を仇として追う若者、宇津木兵馬を演じる本郷功次郎(当時22歳)は『濡れ髪三度笠』『浮かれ三度笠』で雷蔵とは既に共演済み。
やはり竜之介に身内を殺され、本郷を慕う娘お松に山本富士子(当時28歳)がこれまた可愛らしいが本郷より6つも年上でしたか。

中里介山による原作は新聞で32年間も連載された大巨編。
しかし3部作とは知っていたものの、まさかラストで竜之介と兵馬の両者が刀を抜いて向かい合ったところで“つづく”とは。
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