ブタブタ

ラストナイト・イン・ソーホーのブタブタのレビュー・感想・評価

5.0
映画は「総合芸術」だって言われるのがこれ程体感・堪能出来る作品もないと思う。
エドガー・ライト監督は『ランド・オブ・ザ・デッド』のカメオ出演ゾンビと『ショーン・オブ・ザ・デッド』『ベイビードライバー』見ただけなんですが。

『サスペリア』や『ネオン・デーモン』の系譜の田舎から都会に出て来た少女が体験する恐怖と冒険のジャッロ映画、ホラーで更にはミュージカルで最後はゾンビ映画迄のてんこ盛り。

『ラストナイトインソーホー』のアイデアソースは60~70年代のハマープロ制作映画の出演女優いわゆる「ホラークィーン」の記録・名鑑でその殆どの女優達が悲惨な悲劇的最後を遂げてる事からこのストーリーを考えたという(パンフより)
ショービジネスやエンターテインメント業界が如何に女性達を食い物にして来たか、そしてそこで過酷な運命な辿った一人の女性を霊能力持ちタイムスリップ少女が救い出すか?と見せかけて二転三転する展開。

フィクションに救われるのは常に男で、女性はフィクション+現実を常に見てるってこれもパンフの解説読んだ感想ですが、エドガー・ライト監督はこれまでオタク的感性の男が主人公の映画を撮ってきてラストナイト~では女性主人公、フィクションを超えて現実を革命する、エロイーズとサンディの二人の関係と結末は何か『少女革命ウテナ』のラストを思わせたな~と。

CG等の技術がいくら進んでもやっぱり、それを実際に表現するのは役者の肉体であり芝居であり、デジタルとアナログの見事な融合によって本作はスーパーエンターテインメント芸術映画となっているのだなと。

数々の映画が劇中引用されていて解説見ないと流石に全部は把握できない。
最後のあの人の正体が殺人鬼でエロイーズが車から「挨拶したら戻る」って〇〇に戻って行くくだりはダン・カーティス監督『家』ってホラー映画のラストなのかな。
あの「カオナシ背広幽霊」達はギルバート&ジョージの現代美術作品みたいと思った。

それから床板を突き破って出てくる大量の腕はやっぱり『死霊のえじき』のオープニングで、エドガー・ライト監督はいつの日か満を持して超大作ゾンビ映画を撮って欲しいところ。
次は『バトルランナー』のリメイクとの事ですが之はスティーヴン・キングの原作『ランニング・マン』の映画化ですよね。
バトルランナーより原作に近い近未来サイコスリラー・アクションになる物と思われるので楽しみです。
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