エドガーライトが撮ると聞いて、怖い・痛いが苦手で避けていたホラージャンルに初挑戦。
音楽のチョイスと鳴らし方はやはり絶品で、キャラの心情を語りながらノスタルジーを掻き立てる。
そして最高にハイになった所で徐々にノイズが混じり、曲が崩れると共にホラーパートになだれ込んでゆく。
鏡とネオンライトを使って過去と現在を結びつける演出もお見事。
音と映像については文句なしの出来だ。
ストーリーは幼くして母を亡くし死霊が見えるようになってしまったエロイーズが、ファッションデザイナーを目指して大学に入学する所から始まる。
憧れを持ってロンドンに上京してきた彼女だが、その夢は街の喧騒にもて遊ばれてしまう。
それは60年代を生きるサンディともオーバーラップし、まるで共倒れでもするかのように転げ落ちてゆく。
次第に狂気に溺れ人の善意を信じることができなくなると、更にホラーは加速する。
最後の最後まで目が離せない。
キャラクターは割と大味な部分もあったが、シーンの強さとアニャテイラージョイの魅力で持っていかれた。
作品のメッセージは大真面目のミソジニーに対する反論で、本作の原動力になっているのは"嫌悪感"だと感じた。
その感情とどう向き合うか、いかに正しい行動を選択するかが運命を分ける。
狂気に振り回されないためにはマトモな友人とつながっていることだ。
予定調和的でカタルシスはそこまで感じなかったが、見せ方で勝負の作品。