rada

ラストナイト・イン・ソーホーのradaのレビュー・感想・評価

4.0
<2022年 147本目>
エドガーライト監督の新機軸となる作品。
ミュージカルで始まり、主人公の青春映画かと思いきやSF、スリラー、ホラーとジャンルが詰め合わせ。

60年代カルチャー、タイムスリップ、殺人事件、ファッション、夢と現実など個人的に好きな要素しかなかった。

"見られるホラー"という恐怖を全面におしている。

また、極彩色の非現実的な照明が作品を色付けていて、見る見られるの権力関係であったり、時代の光と闇など巧く描いている。

そしてなんといっても今作はジャッロ映画の基盤を裏切った性別逆転映画となっている。

夢に敗れたサンディと対比する形で、夢を実現させるエロイーズ。
女性が男性に食い物にされず表現できる現代を肯定すると同時に60年代を悶々的に美化するのではなく、その闇を知った上で表現している。

現在と過去の距離感の切なさと希望のラストが個人的には好きでした。
歴史映画の目撃者は過去の思いと一緒に未来へ進む。サンディの悲劇を見ていた我々はその思いを背負い未来へと進むことになる。
エロイーズのファッションショーはこの映画そのもの。
60年代を見れたエロイーズこそ、60年代の光と闇を知ったエロイーズだからこそ、未来へ進むことができた。
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