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モービウスのsomaddesignのレビュー・感想・評価

モービウス(2022年製作の映画)
4.0
ジャレット・レトが超カッコ良かった!
出ずっぱりモービウスのおかげで、レトをお腹いっぱい堪能。

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天才医師のマイケル・モービウスは、幼いころから血液の難病を患っている。同じ病に苦しみ、同じ病棟で兄弟のように育った親友のマイロのためにも、一日も早く治療法を確立したいマイケルは、コウモリの血清を投与するという危険な治療法を自らの肉体を実験台にして試す。その結果、マイケルの肉体は激変し、超人的なスピードや飛行能力、周囲の状況を察知するレーダー能力が身につくが、代償として血に対する渇望に苦しむこととなる。

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いつの間にか始まってたソニー・スパイダーマン・ユニバース(SSU)の3作目。①ヴェノム ②ヴェノム・ゼア・ウィル・ビー・カーネイジに続く新たなダークヒーローの誕生譚。映画の「〜ユニバース」って知らん間に始まって、気がつくとシレッと無かったことになってたりするので、ホントに油断ならない。(ユニバーサルのダーク・ユニバースとか)

登場人物を絞って、それぞれの葛藤や焦燥感の掘り下げに注力してくのが賢い。
ダニエル・エスピノーサ監督作は傑作と名高い「デンジャラス・ラン」「ライフ」と、ことごとく見逃してしまってて不勉強にも初鑑賞。不穏な空気感や物語の緩急テンポ感が独特で、飽きる瞬間がないままクライマックスまで楽しく見れた。

ジャレット・レトのモービウス。評判の悪かったスーサイド・スクワッドのジョーカー役から一気に面目躍如した感ある。近年は「ハウス・オブ・グッチ」でパオロ・グッチ役を特殊メイクでイキイキと演じてた。ていうか、近作は大体特殊メイクしてる印象。長年の病に体以上に心を病んでいる。一人黙々と研究してる時の顔と、病床の少女を気遣う慈愛の顔の差がいい。


マイロを演じたマット・スミス。ドラマ「ドクター・フー」は見てないので、「ターミネーター:新起動」のT−5000役で俺にお馴染み。病弱体質が改善した後の、イケイケが板についてない感じがいい。盛り場に繰り出すものの、アッパーな遊びに慣れてなくて、女の子といい感じになるようでならない。遊び慣れてないのを見透かされて、軽くあしらわれちゃう小者感。
変異後、モービウスが自然の力の中に救済を求めるのに対して、マイロは得た力そのものを救済と感じてる。それまでの不遇の反動なんだろうけど、モービウスが理屈や知性で乗り越えようとしたのに対して、マイロの周囲のせいにしちゃう性質が根っこにあるような。敵or味方でしか考えられない狭窄した視野の危うさも込められてるかもしれない。


FBIのエージェント二人がほぼ空気なのが笑えた。有能そうなのに、物語に有機的に絡まないせいで全く意味がない。タイリース・ギブソンが演じてるせいもあって、一見優秀そうで実際はヌケも多い人っぽい。雰囲気イケメンならぬ雰囲気有能。

それにしても、2本あったはずのアレとアレ。結局1本ずつしか使われてないわけで、これは後々への伏線なんだろうか? ポストクレジットでマルティーヌの目覚めが描かれるってことは、それまで被害にあった人たちにも何らか覚醒しちゃうんだろうか?


余談)
「ヴェノム」シリーズといい、今作といい、なんだかずっとエピソード0を見せられてる気分。旅行の計画だけ延々聞かされてる感じで、いったいその旅行にはいつ行けるんだ?っていう。マルチバースへの「匂わせ」も、「匂わせ」ってレベルじゃなくて、なんかこう…この先色々大丈夫か心配になる。


23本目
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