Jun潤

ナイル殺人事件のJun潤のレビュー・感想・評価

ナイル殺人事件(2022年製作の映画)
3.4
2022.03.09

予告を見て気になった作品。
今作もコロナ禍の煽りを受けて公開延期となり、劇場で何度も予告を見ていました。
そうすると自然と観たい気持ちになってきますね。
シリーズ前作『オリエント急行殺人事件』は未視聴ですが、軽く調べた感じ未視聴の影響は少なめかなということで今回先にこちらを鑑賞です。
『オリエント急行殺人事件』同様、ケネス・ブラナー監督・製作・主演。
アガサ・クリスティー自身外国旅行物の中で最もいい作品の一つとしている「ナイルに死す」の映像化。

1937年、イギリス。
世界一の名探偵エルキュール・ポアロは、ロンドンのナイトクラブでサロメの歌声を聞いていた。
その場でポアロは大富豪のリネット、彼女の友人のジャクリーン、ジャクリーンと親しいサイモンと出会う。
6週間後、エジプト。
休暇で訪れていたポアロは、かつて知り合ったブークと再会し、彼の母親ユーフェミアと出会いパーティーに招かれる。
サロメとそのマネージャーも合わせた一行は、ナイル川クルーズのカルナック号に乗船。
船上で起きた殺人事件に、世界一の名探偵が挑む。

エジプト、ナイル川の風景が印象に残るクローズド・サークル・ミステリー。
最近の地盤ごとひっくり返るようなどんでん返しものではなく、地道な尋問と捜査によって真実を解明していく王道ストーリー。

『名探偵コナン』のような“どのように”殺したかではなく、どちらかというと『相棒』シリーズのように“誰が”“どうして”殺したのかを探っていく、個人的にはサスペンスに近い雰囲気を感じました。

船上が主な舞台の今作ですが、印象に残った場面は陸上のシーン。
序盤のリネット、ジャクリーン、サイモンのやりとりから何かしら起こりそうな雰囲気を感じ、その愛情が事件に深く深く関わっていく。
それは時代を経て現代においても手を替え品を替え語り継がれる様々な愛の形。
その結末は綺麗なものだけではないかもしれないけれど、一生を添い遂げるという意味では今作も立派な愛情だったんだと思います。

また、序盤の戦時中シーンに描かれた、ポアロの口髭の背景。
その裏にもまた愛があり、終盤にはその口髭がなかったことから、今作で描かれた事件がポアロの愛情に対する認識、人生における愛情を変えさせたんだなぁと、事件だけではない、ポアロの人生の1ページとしても作品の立ち位置があったんだと思います。
Jun潤

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