観て。
そしてこの脚本と映像と演技に、映画の良さを噛み締めてほしい。
酔った勢いで、なんかオリエント急行みたいな映画があるなと思って1タップ。すると、何のことはない、太くしっかりとした筆跡で描かれた伏線とともにナイル川の奇跡のほとりに現れたのは、探偵ポワロだった。
ひとときの幸せを彩る、一つの調度品も見逃せない華やかなハネムーンクルージング。緑を讃える肥沃な川に、吹きすさぶ砂嵐。人間の愛憎に、古代の王妃が時を超えて微笑む遺跡の前で、その事件は起こる。
物語を非の打ちどころのないシルクで丁寧に包み込むアガサクリスティはいつも難題を突き付けるが、ケネスブラナー監督のホスピタリティはそんな淑女の手をとってエスコートする。
相変わらず小さな伏線を宝石のように散りばめ、人の命は花のように散っていくが、映画に飽きて毒や薬ばかり飲んでいると、「ちゃんとしたもの」でデトックスすることも大切。
やっぱ味噌汁はうめえわ。