ちぃ

シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢のちぃのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

★3.8 郵便配達員のシュヴァルが、配達中につまずいた不思議な石から着想を得て彼の理想とする宮殿をひとりで作り上げた実話。
人付き合いが苦手なシュヴァルは、妻を亡くし、幼い息子は一人では育てられないだろうと親戚が育てることに。
独りになったシュヴァル新しい配達先で、ある未亡人と知り合い魅かれ結婚する。そして一人娘のアリスが生まれる。不器用すぎるシュヴァルは、子供とどう接していいかわからない。そんな中で彼は不器用なまでの娘への愛情を宮殿という形で表現していく。周りの村人からは冷ややかな目を向けられるも彼はただひたすらに宮殿を作ることに打ち込む。
33年かけて宮殿が完成するまでには、娘アリスの死、息子との再会、和解、息子の死、妻の死を経験する。
そのたびに彼は感情を宮殿に静かにぶつけ、形にしていく。

人が人とかかわりを持ち、年を重ね、変わっていく様子が静かに、それでいて時に激しく描かれている。
物静かで何も語らない彼を理解する妻。多感な時期に差し掛かるにもかかわらず父を慕い続けた娘。次第に解きほぐされていくように見えるシュヴァルツ。
他人からは冷ややかな目で見られても、周りの近しい人は彼の事をよく知り、彼の気持ちを汲み、見守る。

彼の作った理想宮はサグラダファミリアのようにも見え、興味深い。

#unext
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