さすらいの用心棒

長靴をはいた猫 80日間世界一周のさすらいの用心棒のレビュー・感想・評価

3.0
ジュール・ベルヌ『八十日間世界一周』をベースに長靴をはいた猫・ペロが大活躍するシリーズ第三弾。

第一作『長靴をはいた猫』では宮崎駿が原画にあたり、最後の三十分間はまさしく『カリオストロの城』のような大活劇で大いにワクワクしたのだけど、宮崎と高畑が東映アニメを去ったのちの三本目ともなると一作目の勢いは完全に衰退しており、正直、愚にも付かない。
にも関わらず、不思議なくらい宮崎アニメとの類似性が散見されている。
ラストでの時計塔における歯車の追いかけっこは『カリオストロの城』まんまだし、メカをつくってペロたちを妨害するオオカミ(?)紳士・ガリガリ博士は、どう見てものちに宮崎が演出を手掛ける『名探偵ホームズ』のモリアーティ教授(同じくメカを駆使する)にしか見えない。声も同じく大塚周夫氏があてているのも偶然とは思えない。
宮崎駿が本作からインスピレーションを受けたのか、もしくはアドバイスを与えたのかは不明だが、インスピレーションを受けたというには忍びないほどどうしようもない凡作であることだけはたしか。
岡本喜八監督の大傑作『殺人狂時代』の脚本家・山崎忠昭がシナリオに参加していた。