ギャス

ミッドサマーのギャスのレビュー・感想・評価

ミッドサマー(2019年製作の映画)
3.2
最初から、男たちの女に対する愚かさはいくつも描かれていた。(熊と少女の額絵まである)。
女性をないがしろにする言葉や態度は私達はよく目にする光景だが、しかし"ちゃんとした人たち"の中にあっては、"罰せられる"に値する行動だろう。
そのせいか、最後はかすかに爽快感がある。

未知の文化やしきたりや儀式に誘われ入り込んだ時、他文化を尊重するためや、ただよくわからないため、
盲目的に言いなりになるしかない。それはとても共感できる恐怖。
そしてこの映画では儀式はいつも"白昼堂々と明るく正しく大勢で"行われる。逆に恐ろしいポイントだ。

しかし途中で、あまりに細部まで作り込まれた仕草や歌や美術をみていると、制作陣がそれらを作り上げるまでの努力、それを具現化する役者たちに、ふとコントのような可笑しさを感じたり。

さすがの残酷描写はあるが、その時だけ目を細めていればやり過ごせる程度だった。



ネタバレ
いくら村人たちが自分たちを正しいと信じていようと、焼き殺される時に叫び出す生贄の村人の姿に、やはりそんな伝統はインチキなのだというメッセージを感じた。
あと、あまりにもひどい、意図的な近親相姦でできた子どもの在り方表わし方。
しかしそのインチキを含む伝統に、彼女はとうとう惹きつけられたラスト。居場所を見つけた笑み。彼女はこの村できっと幸せに生きるだろうと一瞬は思えたが、新たな血として子どもを産むことを義務づけられたことは別の牢獄に入ったに等しいのではないかとも思える。

ところで彼女の、死んだ3人の家族は、もしかしてペレがやったのか??
ギャス

ギャス