あらすじはもう説明不要かな。やっと鑑賞できました。
世界観は完成されていたけれど、テンポが悪いせいか全然楽しめなかった。確かに彼氏に酷い目に遭わされた女性が自分のことを受け入れてくれる集団に入ることで起こった復讐劇と捉えればよくできていると思うが、観ているこちら側への絶望感が感じられなかった。
同じアリ・アスター監督の『ヘレディタリー/継承』は個人的には大好きである。なぜならあの映画には、自分の大切な存在である家族によって、その一家の関係性が観客にわかる形で修復不可能であると悟らせる工夫や、そもそもあの危機は逃れられないものだったという恐ろしさが描かれていたのに対し、本作のフォーマットは『巻き込まれ型』と言えるような凡庸なものであったのが残念だった。
監督が魅せる、悪魔視点や常人では考えられない編集方法を内包する変態的なカメラワークも今回は冴え渡っていなかったのが残念。次回作のホアキン・フェニックスの最新作も、ある男に次々と不幸が降りかかるストーリーとされているが、そこではまた観客にも絶望感をとことん味わせるような工夫をして欲しいと感じた。
