ジャック

ミッドサマーのジャックのレビュー・感想・評価

ミッドサマー(2019年製作の映画)
3.3
狂気まみれの映画。

青年たちが論文のためや、旅行、やましい気持ち…など様々な理由を抱きつつ友人の一人の故郷であるホルガ村という所を訪れそこでの儀式に参加する話。
このホルガ村はとても美しく牧歌的で村人たちもとても穏やかで優しいが独自のカルト的文化を築いている。この文化がとにかく極端で気持ち悪い。だけど村人たちにはしっかりと教養もあるし共同体への愛情がある。そして村人たちはその文化に納得しているし不満も抱いていないので村においては異物は主人公と視聴者サイド。
とはいえ、現代社会とは倫理観も価値観もぶっ壊れていて、共同体を円滑に回すという事しか前提に無いためとても独善的。
中盤から終盤にかけては衝撃的なシーンが続く。「そんな事する必要ある?」と思うような場面もあるがカルト相手に一般的な理屈・道理をぶつけても意味なんて無いんだろうな。

全編通して映像が美しく鮮やかで幻想的。そして気持ちが悪い。
導入が都会の陰鬱な雰囲気から始まるため尚更美しく感じる。

音楽は民謡の様な独特のリズムで耳心地いい様に聞こえてどこか狂気じみてて凝ってる。
視覚的なホラー要素より聴覚から破壊してくる感じ。

ラストシーンでは、常にギリギリで壊れる寸前だった主人公が初めて心から笑っている様に見えるけどこれは完全に壊れてしまったのかもしれないが彼女にとってはこれが正解でここが理想郷なのかも知れない。

観終わるとどっと疲れる映画だった。カルト映画とかサイコスリラーが好きな人にはオススメ。
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