サメガミ

ミッドサマーのサメガミのレビュー・感想・評価

ミッドサマー(2019年製作の映画)
3.7
正義とはなんなのか考えさせられる映画。

序盤
 主人公ダニーの情緒不安定による彼氏への依存により関係性がギクシャクしているところから始まる。
彼氏もダニーもこの関係性をどうしようかと悩む。
そんな時彼氏の友人ペレの誘いでスウェーデンに行くことになる。
そこで行われるのはは90年に一度の祝祭だった。
中盤
 その祝祭会場に到着すると、ペレの友人や村人に歓迎される。
白をまとった牧師のような服装や抑揚のない演奏、不気味に踊る村人等奇妙な光景に圧倒されるが歓迎ムードと人柄にどこか安心し、新鮮な光景を楽しんでいた。
ところが祝祭のあるイベントをきっかけにこの村は異常であると感じ始め、訪れたメンバーは村を脱出しようとする。
終盤
 祝祭の一大イベントである女神を決める儀式でダニーは勝ち抜き、女神の座につくことになる。
そして祝祭の最大の目的のある儀式において衝撃の事実が判明する。

考察
 序盤からサブリミナル的に挟んでくる怖いカットや壁画の絵のタッチ、音楽の旋律、村人の笑顔等不気味さの演出が凄まじかった。
 特に村人の狂気な笑顔と目は怖かった。自分の行いが悪いことなんて思っておらず、正しいことをやっているという認識、悪意なく行なっている方が自覚がないのでその行動を止められない。指摘したところで改善に至らないという怖さがあった。
飛び降りや捧げの儀式は輪廻転生という考えのもと次の赤ちゃんのために行わなければならない。集団の利益のために儀式を行なっている。そのためには犠牲は必要でありしょうがないことなんだという認識、それがいかに残酷で酷いことでも。
文化という閉鎖的なコミュニティでは慣れがその異常さを打ち消してしまう。今までこのやり方でやってきた経験と誇りがあるから、信じて疑わない。
そう言った意味で様々な組織において、別の目線や価値観を持った異業種を適度に受け入れていかないとそのコミュニティは廃れていくんだなと思う。
正義というのは人それぞれでその根底には育った環境や文化等が強く根付いていて、そう簡単には変えられないものだと思った。正義を受け入れる方が簡単で今回のダニーも受け入れてしまっていた。
1番怖かったのはこの映画を見て、所々の理解不能な儀式のシーンで笑っている客に狂気を感じた。