このレビューはネタバレを含みます
ヘレディタリーでガツンと食わされたので
ある程度想定内でしたが
プロローグからがっつり始まる
不気味なビジュアルの伴った不幸に
ホラーって序盤は平穏じゃなかったっけ...と意表をつかれた。
ちょっと、どこから説明していいのかわからない。
順番が前後しそうだがお付き合いいただきたいです。
真昼のホラーという白い明るい世界を想像してただけに、冒頭の
暗い冬の景色はギャップがある。
後から考察ブログなどを読んで、
冬から夏へと移り変わることにも意味があって
主人公ダニーが絶望の冬から狂喜の夏へと移り変わる心の旅をも表現しているのだとわかった...なるほど、確かに。
ヘレディタリーでも感じたあの一周回ってハッピーエンドなのかこれは!?
という終わり方をした。まさしく狂喜
細部に渡って北欧神話のエピソードやルーン文字が象徴する意味や映像の一コマ一コマにも記号と示唆が散りばめられていて、ネットでかき集めた考察を後から読んで知ることもあった。
ダニーと彼氏のクリスチャン、そしてその友人たちを連れてきた、ミッドサマーの土地を故郷に持つペレは、ハーメルンの笛吹男としてオープニングの絵で描かれている。
その例え方も秀逸だし、それぞれの記号の意味は面白いのでこちらの記事おすすめします。(勝手に人のブログ参照)
https://note.com/isaribi_review/n/n1c85ba88b707
この映画の特徴は圧倒なビジュアルのセンスのよさ(芸大っぽいハンドメイドクラフト風)とそこに隠された記号的意味と、
それだけでなく
物語に立ち込める不協和音のような不快感
人って自分の理解を超えた他人の行動や感情、思想を目の当たりにするととても拒絶反応を抱くと思うのだけれど、
そういう理解不能な常識が村に染み渡っていて
そこに外部からきた、現代の一般的な価値観を持ち合わせた主人公たちが徐々に染まっていく過程が
心にザラリとした感情を植えつける。
でもこの映画でモチーフとなった残虐な殺し方や生贄の制度や姥捨やら慣習の一部なんかは実際に過去の歴史の中であったことを使っていたりするわけで
つまりこの一見理解し難い価値観は全くのフィクションとも言えないわけで
外から眺める私たちにとっては
何か違うと警告が発せられて不快を感じるけれど、
この集団の中に混ざっていて(さらに強烈な心の傷を負ったもろい状態で)ダニーのように本当に取り込まれない自信はあるだろうかと思ってしまった。
現に村の人々の価値観はある意味その村の中ではとても合理的に機能している。
一周回ってハッピー???
でもザラリとしたものが残る。
にんげんってこわい
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余談だけどペレの両親は炎に焼かれて死んだって話してたけどもしかして生贄になったのかな...
でもこれ90年に1度の祝祭じゃなかったっけ...え、どういうこと...
って思ったんですが誰かわかる人教えてください