Monsieurおむすび

アルマジロの予言のMonsieurおむすびのネタバレレビュー・内容・結末

アルマジロの予言(2018年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

イタリア映画祭2019にて。


イタリアの人気コミックの映画化。
ローマ郊外を舞台にした非正規雇用の若者の、社会の中で浮上できない生活を描く成長譚。

27歳のゼロはイラストレーターとして仕事を請け負ってはいるが、まともな収入は得れず様々なアルバイトで食いつないでいた。
内気で社会に馴染めないゼロの話し相手は世話焼きの母親と友人の変人セッコ、そして自身のアイロニックな部分が具現化した別人格のアルマジロだけ。
そんなゼロの元に、かつて想いを寄せていたカミーユの訃報が届き、彼女との思い出と共に自身の人生を振り返っていた。。。

シュールな演出とシニカルな会話のコメディなのだが、
反グローバル化を掲げたデモで命を落とした若者の事件「ジェノバの悲劇」が下地にあり、そこから地続きにある現在のイタリアの若者の悲哀へと繋げる味わい深さもある。
その背景を知らないと、なかなか入り込めない部分もあるが、それを差し引いても時間を旅する回想録の愛おしさと、青春劇としてのほろ苦さに心惹かれた。
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