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82年生まれ、キム・ジヨンのAbeCinemaTVのレビュー・感想・評価

82年生まれ、キム・ジヨン(2019年製作の映画)
4.2
(韓国の)女性が置かれているリアルな苦境みたいなものがすごく伝わってきて感動したんですが日本の女性はどう見るのかなとすごく気になった。本当ベタっていうか普通のことしかおきないんですけど切り取り方がすごいんですよね。いわゆる大きな事件みたいなことは全然起きなくて、姑との会話が辛いとか、育休って取るの難しいよねとか、「子育て手伝うよ!」っていう旦那に手伝うってなんだよ、とかポイントポイントは「スカッとジャパン」とか「答えてちょーだい」にでも出てきそうな話って言ったら失礼か?笑なんだけど、その組み立て方がさすが韓国映画素晴らしい。そして俳優たちも過剰にやらない。演出も過剰じゃない。落ち着きをもたらす。

考えてみるとこの「スカッとジャパン」とか「答えてちょーだい」感っていうのはポイントポイントであからさまに主人公に対して陰口を叩く第三者がこれみよがしに登場することに原因がありそう。あんなにはっきり悪者を作らなくてもよかったような気はする。正直まだ声に出してくれるのはいい方なんではないか?とすら今の社会では思ってしまう。育休、育児、女性、女性の社会進出に声こそあげないものの集団の冷ややかな目線というものが実際にはすごくタチが悪いんだと思う。そういう声をあまりにわかりやすく、群衆の中の数人に代弁させるという手法が少し安っぽさを生み出してしまっているような気もしない。

とはいえ、これくらいわかりやすくやらないと本当に無頓着な人には本当に伝わらないという壁もあるんだろうと思う。というかこれでも伝わらないんだろうな。あの若い頃の旦那のように。
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