ゆき

82年生まれ、キム・ジヨンのゆきのレビュー・感想・評価

82年生まれ、キム・ジヨン(2019年製作の映画)
3.9
私は94年生まれ。97年生まれの妹と観に行った。原作未読だけど、日々の小さな棘を再確認しながらじわじわと込み上げる閉塞感。見たことない光景なんてひとつもない。

夫が一見良い人そうなのが余計しんどい。ていうか良い人。無邪気な「子供作ろうよ、育児手伝うし」という言葉も、妻を想って涙する姿も矛盾しない、とても、とても"普通の"男性。
そしてそういうものなのだと思わないと、悪い意味で適応しないと自分を守れないから、世界は再生産されていく。バリキャリのチーム長が男性しか選抜しないのが本当にリアル。ジヨンの諦めの言葉はそのまま未来の娘に向けられた言葉。誰かが壊さないと、終わらない。その象徴がお姉ちゃんで、めんどくさいしエネルギー使うけど、同じようにほんの少しずつ声を上げて前を向いていたい。

電車広告に溢れる脱毛の広告。私も脱毛したいと思ってしまう。でも、女子だからってつるつるの肌じゃないといけない社会ってなんなんだ。私が社会の圧力に合わせることで、これからも同じ生きづらさが生まれるんじゃないか。まぁこれは資本主義的な圧もあるんだけど…身近に溢れる小さな棘に、慣れないでいたいなぁと思う。
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