仕事や夢を諦め、専業主婦となったキム・ジヨン(チョン・ユミ)は夫デヒョン(コン・ユ)と幼い娘と暮らしていた。彼女は育児や義母との関係、世間の冷たい視線から次第に心のバランスを崩していくが、彼女自身はそれに気付いていなかった。
韓国映画だけど、日本社会でも十二分に響く作品だ。
父親の無関心や義母からのプレッシャーなど、極端な描写の連続ではあるけれど、一つ一つは現実にそこらじゅうに存在するエピソード。
単にそれらによってジヨンが壊れていくわけではなく、家父長制と男尊女卑の中で育った彼女の少女時代の体験、家族の振る舞いから、なぜそこに至ったかを見せるつくりがとても丁寧で巧かった。
当然、昭和のサラリーマンの家に育ち、普通のサラリーマンやってる我が身を振り返って怖くなる。
みんな無意識にやっちゃってるからなー。ある意味、すごい恐怖映画だった。
子供は親を見て育つし真似をする。みんなが勇気をもって自己否定しないといけないんだけど、日本はまだまだ時間がかかりそうだ。
優しいけど間違いなく妻を追い込んだ張本人の一人、夫デヒョンを演じたコン・ユはいつもどおりフラットな演技。
「トガニ 幼き瞳の告発」「新感染 ファイナル・エクスプレス」でも彼と共演してるチョン・ユミの演技は静かに響いた。綺麗すぎてやつれてる感はいまひとつだったけど。