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82年生まれ、キム・ジヨンのenneのネタバレレビュー・内容・結末

82年生まれ、キム・ジヨン(2019年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

劇中でのエピソード、詰め込みすぎだとか思う人もいるのかもしれないけど、多くの女性にとって全部「当たり前」で、「普通」で、「実際に経験してきたこと」だったりする。細かい描写まで映画にしてくれてありがとうと思った。

鑑賞中わりと序盤から大泣きしてしまいましたが、感動とか同情ではなくて
怒りとやるせなさと悔しさとフラッシュバックの涙だった。とてもつらいね。


宇垣美里のインタビューより、
『やがて少しずつ狂い始めるジヨンに追い打ちをかけるのが、“家庭的”で“協力的”な“優しい”夫の存在だ。

彼はジヨンを案じるけれど、彼女が洗濯物をたたむ横でビールを飲んでいるだけだし、彼女が仕事を見つけてくれば「いつ働けと言った?」と逆上する。君のために育休を取る、と言いだしたときは目が飛び出た。誰の子どもを育ててるつもりなんだろうか。君をここまで追い詰めた気がして……と泣きだしたときはもう笑うしかなかった。貴様に泣く権利なんてない。』

あああ、わかる、そうなんだよな、と思った。コン・ユ演じる夫はけして"クズ男"ではない。だけど「私だけが闘ってる」とジヨンが言うように、夫は常に傍観者でしかない。そして、社会に刷り込まれて本人ですら気付けない無意識の男尊女卑。
優しい優しい地獄だ。「直接加害者になることにはない層」のタチの悪さが浮き出ていた。

今さら何も響かないかもしれないけど自分の父親に観せたい作品でした。
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