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82年生まれ、キム・ジヨンのaのレビュー・感想・評価

82年生まれ、キム・ジヨン(2019年製作の映画)
3.8
心の奥に絶対見ないようにしまっていた、か細い糸をすっと触れられて、見つけ出されてしまった感じ。
そのくらい繊細。
心の琴線に触れるってこういうことを指すのかな。

原作未読です。
思ってた話と違ったけど、いい意味で驚かされた。

男の子だからとか、女の子だから、っていう理由で色々区別されることは少しずつ減ってはいるけど、人間の奥底には気づかない「痛み」みたいな物を抱えているのかもしれないと思った。

例えば女の子なら、やっぱり夜道は気にするとか、満員電車で当たる手はわざとなのか仕方ないのかとか、スッピンだとわちゃわちゃ言われるから、ちゃんとしなくちゃいけないとか。
でもどんなに可愛くなりたいと思っている子だって、メイクが面倒くさいって思う日はあると思う。
私も散々服装のことを、ああだこうだ言われた学生時代でした。
(単純に勤労学生で服を買うお金がなかった笑)

思っている以上に、自分は女であることを再確認させられた。
男の子だったら、こんなこと考えたりしないだろうなってことが、心の奥底にたくさんあって、でもそれを見ないようにして生きているんだなと。
そういえば、強くなりたくて男の子になりたいって思ってた時期あったな〜笑

82年生まれのキムジヨンの気持ちを、私はきっと分かり切らない。
でも彼女が結果、ああなってしまったのは、やっぱり男尊女卑の考えが根強い家系だったからというのは大きいとは思う。

でも、義母さんも口調は荒いけど、割といい人だし、旦那さんも足りないかもだけど協力的だし、、、
ジヨン自身が、自分の「こうであらねばならない」という感情が強かったのかな。
責任感が強くて、仕事ができる人だったからこそ、完璧主義になって自分で自分を苦しめてしまったのかもしれないね。

「僕が追い詰めてしまったのかもと」と泣く旦那さんにもらい泣きしてしまった。
でも、母であるジヨンだし、妻であるジヨンだけど、その前にキムジヨンという1人の人間でありたいという気持ちは、痛いほど伝わってきた。

怖かった時、寂しい時、親にはやっぱり1番の味方でいて欲しいんだ。
最後のシーンの笑顔が印象的だった。
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