ポンコツ娘萌え萌え同盟

仮面の誘惑のポンコツ娘萌え萌え同盟のレビュー・感想・評価

仮面の誘惑(1988年製作の映画)
3.6
白い家、白い部屋、白い空間、白いパンツ、白いベッド、白いナプキン。それと赤い赤い血。赤い蝋。赤い火。
放火犯の少年の、性とアイデンティティの心理を佐藤寿保作品ではお馴染みの夢野史郎が描く。

夢野史郎脚本といえば異常心理・犯罪心理から炙り出される深層心理・あるいは精神分析的な要素がありその根源として性によるものがある。
それを強く打ち出したのが『変態病棟 SM診療室』なのだが、本作も例に漏れず。その手の要素を含んでる。内容的には心理サスペンスと言うのが妥当だろうか。

それにしても本作は難解だった。ロシアンルーレットでいつ、真実が最後まで語られず終わるのかそんなハラハラに置かれれる中で見せられる少年の告白。
少年が姉と義兄の家に住むことになった、どこか冴えない少年がゲイセックス(ゲイポルノ映画なので)やSMなどといったものを受ける。
だけど少年が直接心理を語るわけでもなく、むしろ告白にしては異常なほど言葉数が少ないと言ってもいいくらいだろう。
だからこそキャストが演じるシチュエーションや映像から少年の心理を見ることになる。でもそこは佐藤寿保×夢野史郎コンビだからこそ為せる技でもあるかもしれない。

『ロリータバイブ責め』や『(生)盗聴リポート痴話』など見ていると佐藤寿保×夢野史郎はむしろ尖ったような印象が強かった。演出も含め。
それとはまた別に本作『仮面の誘惑』は非常に、いつも以上にねっとりとドロリとた感じが印象的だ。
もちろん他作品でもねっとりとした感じこそするけど、明らかに本作はそれよりも突出していた気がする。