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ラストブラックマン・イン・サンフランシスコのFHTのレビュー・感想・評価

4.3
エモい!!
作品をどのように受け止めるか、人によって360度変わるような映画。

1つの映画に様々な主張を取り入れているが、現代の歪みなどに無関心な人は全くささらなさそう。
今の時代が少し生きにくいなと思っている人は是非みるべき。

僕の持論とヒロイン達が語り描く物語と、重なり合う部分がいくつもあり、作品に包まれる温もりも感じ取れた。
今の時期に観れて良かった。

この作品には様々な主張がある。

1つ目は、世界の状況の変化を全く意識しない人々が住むサンフランシスコを皮肉に描くシーン。
汚染された海にそびえ立つ原発。海から陸へ這い上がった魚は奇形に育ち一生を終える。
そんな事はどうでもいいし関係ないと主張する人々。

そして、海の汚染を除去する役員を更に皮肉な言葉が告げられる。そんな防具服を着ないとこの街を歩けないのか。俺はそんなものはいらねえ。マスクをしないと呼吸できないやわな人間じゃないと主張する人。

2つ目は、本当の温もりを失った人々への皮肉。
SNS、インターネットにより、人々は温かい色をした冷たい言葉で自分の価値を高めようとする。
いいね❤️とついたボタンの数がその人の価値だと思わされる時代へと進化してしまった悲劇。
ある黒人が少しの挑発で撃たれて死んでしまった。
その出来事をインターネットで語る人々。
その人々はその人の何を知っているのか。
その人の隠れた優しさを知っているのか。
そういう事を知れるのは肌に触れ、歩み寄り、目を見て話しが出来る僅かな人達だけだ。

3つ目は真の友情。
友情という概念は人によって何処からが友情だったりが測れないものだ。
何故僕に付いてきて優しく寄り添ってくれるのか。
心までを知ってやっと友情というものは芽生えるのではないだろうか。
たとえその人が過ちを犯しても、その人の優しさを知っていれば裏切るなんて事はせず向き合うのではないだろうか。
見た目で判断せずに歩み寄ってくれる人は本当に貴重だよ。

4つ目はその友情があるが故に伝えなければならない真実。

友人が何十年も信じてきた出来事に不備があり、それが全くのでっち上げだった事を素直に友人に伝える愛が美しかった。
嘘に希望を見出した友人に真実を伝えるのは心がえぐられる気持ちになる。
ただ、友情はそんな出来事よりも深く強いものだ。
そういう事を感じれる物語だ。



"いつもそばにいてくれてありがとう"とお世話になっている人に感謝を伝えれられる世の中になればいいなと思います。
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