昼猫

嵐の中での昼猫のレビュー・感想・評価

嵐の中で(2018年製作の映画)
4.0
今注目のオリオル・パウロの作品との事で初鑑賞。ジャンル的には恋愛要素のあるSF系サスペンスといった所か。

タイムリープ系ではお約束のタイムパラドックスを描いた作品で展開的には使い古されていそうなネタだがストーリー構成や至る所に仕掛けられた伏線など矛盾もなくしっかり練られているのでちゃんと面白い。そこは流石オリオル・パウロと言った所。

夫が他人になったどころか何より娘の存在が消滅してしまう展開はかなり残酷でキツい。タイムパラドックスの怖さを丹念に描いていて尋常じゃない絶望感が伝わって来る。ベラが誰にも信じてもらえずイカれた女扱いされても自分の人生を取り戻す為に最後まで諦めない姿には心を揺さぶられる。

そして監督得意の終盤のどんでん返し。かなり衝撃的なのだがここでも事前に仕掛けた伏線が効いていてやはり上手い。しかもサスペンスからラブロマンスに変化するとは思わなかったのでちょっとびっくり。このクライマックスが感動的で思わず涙🥲

惜しい点は本筋である殺人事件がちょっと地味である事。もう少しハラハラするような緊迫感が欲しかった。またややこしい話に加えて登場人物が多過ぎるので途中でちょっとこんがらがる(自分だけかな🤔)

設定が若干自分が一番好きな「オーロラの彼方へ」に似た部分があったのも好感触。
ラストシーンの再会はクライマックスでの彼らの葛藤を知っているので感慨深くてまた涙が出そうになった。ぐうの音も出ない完璧なラストシーンだと思う。
昼猫

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