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TENET テネットのezuのレビュー・感想・評価

TENET テネット(2020年製作の映画)
4.0
時間を題材にした映画は山ほどあるけど、今作の時間逆行は映像的にも新しくてとにかく見応えがありました。
冒頭から流し目がセクシーなジョン・デヴィッド・ワシントン、気のいい相棒ロバート・パティンソン、訛りが素敵なケネス・ブラナーでなくとも手放したくないほどの美しいエリザベス・デビッキ嬢。
ロケーションもムンバイやオスロなどハリウッド映画であまり見ない場所が多くて新鮮でした。
豪華キャストも、どうやって撮ってるの!?と思うような壮大なアクション(飛行機を建物にぶつけて爆発させるシーンで普通は飛行機を建物にぶつけて爆発させない)も本当にIMAXで拝めて良かったと感謝するほど素晴らしい。


と、この映画が映像的に素晴らしいということは前提として、ファンとしては少し気になる部分もあります。
というのもこの映画、正直すごくわかりにくい。
今作には、
・一枚絵的な映像の美しさを優先するあまり説明が不足しがち
・設定の科学的裏付けを文学的に説明してしまう

というノーラン映画の愛すべき欠点(あくまで個人の感想です)が悪い意味で全面に出てしまっていると感じました。

私は科学に疎いのでそもそも物理学的説明は理解できると思っていないのですが、それよりもこの映画、劇中で「今」「何のために」「何をやっているのか」がとにかくわかりにくい。
おそらく今後2回3回と観ていく中で人物たちの行動や考えになるほど、と思ったり、特にニールの言動にはきっと心情背景を察して心揺さぶられることになる気がします。

私はインターステラーでもマイケル・ケイン演じるブラント教授が何のために何の研究をしているのか、一体どうしてあのモールスからあの未来にたどり着けるのか初見ではさっぱりわかりませんでしたが、今回はもう「なんだかわからんがすごくエモーショナルな展開を見せられた気がする」けどそれに気づいた頃には映画が終わってた、みたいな状況でした。

私自身ノーラン映画はSFと書いてサイエンスファンタジーと読む、くらいに思っているのでこんな感想を書き連ねるのも野暮かもしれないし展開を理解した頃にはこの青くさい感想を見るのも恥ずかしいくらいになっているかもしれませんが解釈も考察を見ていない初日初回の純粋な感想として記録しておきます。未来への伝達手段として。

そしてこんなことを書きながらも、買い忘れたパンフレットとあの映像体験を求めて私は再び映画館に向かうことでしょう。
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