つかれぐま

TENET テネットのつかれぐまのレビュー・感想・評価

TENET テネット(2020年製作の映画)
4.5
9/22@大泉#1
9/23としまえん IMAX Laser

<運命≠何もしない理由>

心地よい疲労感と充実感。
「考えるな感じろ」とは言うが、考えた末に到達できるカタルシスもしっかり用意されていた。

ノーラン作品はどれも二度目からが面白い。どうやら共通認識になったこのセオリーだが、本作は正にその極北だった。ある意味、絶対に分からない作りになっているので、普段は何も情報を入れないという方や、あらかじめ2回見る予定の方でも、初見前になるべく予習をしたほうがよいと思う。今回は趣向を変えて、

① 予習のすすめ
② 軽いネタバレ感想
③ 重大ネタバレ感想

未見の方は①を是非、②もできれば。
鑑賞後には③を読んでいただくと、話のネタくらいにはなるようまとめてみたい。

① 予習のすすめ
とにかく人物関係が複雑なので、公式HPを見て相関関係を頭に入れたほうがいい。因みに私はそれ以上の「あらすじ」まで目を通したが、知っておいてよかったなと思う。更に、以下の設定も知っておいた方が楽しめる。
・本作は「順行からの視点」と「逆行からの視点」が頻繁に入れ替わる。後者の場合、自分たち(逆行側)の動きが「正」になり、順行側の動きが逆に見える。
・順行と逆行が入れ替わる回転扉は作中に4か所配置。
・得意の時系列トリックあり(時間差のある複数事象を、さも同時に起きているかのように見せる)

② 軽いネタバレ感想
順行と逆行が「交わる」場面。
オスロ空港、カーチェイス、最終決戦についてはパンフレットやネット上の考察等あさって動きを復習してから二度目を見ると良い。初見時は「これ絶対粗があるだろ」と疑ったギミックが、二回目でちゃんと整合性が確認できて惚れ惚れした。空港とカーチェイスは、文字通りの伏線回収をする(本当にもう一度、逆行視点で見せるからね)という面白さ。

上映フォーマットについて。
当然IMAXがお勧めだが、初回に難解さを→二回目でそれが解明されていく快感を楽しむのなら、私のやった①通常→②IMAXが効果的だ。二回目の感動を最大化するためには、あえて初回は通常スクリーンで観て、その振れ幅に驚くのも悪くない。

★★★ここからは鑑賞後に★★★

③ 重大なネタバレ感想
ネット上で多くのレビューが披露されているが、その中でとても気に入った解釈がある。それは既にご存じの方も多いと思うが「ニール=キャットの息子」説だ(ネット上ではかなり明確に根拠が示されている)。それを踏まえて二度目を鑑賞すると、初見時はかなりドライに感じた後半の人間ドラマがまるで違って見える。

主人公がキャットを守る。
それは恋愛感情ではなく本作のテーマたる「運命」だった。負傷したキャットに寄り添うニールの想い。おそらくはニールにとって「育ての父」になる(&だった)主人公。この二人の間で交わされた最後の言葉「友情の始まり、友情の終わり」の持つ意味。全てが愛おしく「ターミネーター1&2」のような人間ドラマの厚みを味わえた。

ニールの最後の台詞。
いかにもノーランの頭の中という感じで、カッコ良過ぎるね。

”運命は「何もしない」理由にはならない”

このニールを演じたロバートパティンソンの次回作は「バットマン」。ニールに地球の運命が委ねられたように、パティンソンにもワーナーの運命が懸かることになりそうだ。