つかれぐま

レイダース/失われたアーク《聖櫃》のつかれぐまのレビュー・感想・評価

4.5
24/4/10@イオン多摩❹
#午前十時の映画祭

不死身のジョーンズ「博士」は、軍人でもスパイでもなければ、超人血清を打ったわけでもない。その強さの原動力は、考古学への探求心と諦めない心。

スピルバーグの細かい演出の積み重ねが、ジョーンズの不死身ぶりに説得力を与えている。「地図の間」でアークのありかが照らされた時のジョーンズの少年のような輝く顔。こういう顔をした時、男は無敵になるものだ。マリオンの命を危険に晒してでもアークを手に入れるぞという執念。そこまで純粋なジョーンズが、総統の為に動くナチスや、カネで動く現地民たちに負けるわけにはいかない。潜水艦にだってしがみ付く👏。ただ、そんなに強いとあっさり勝ってしまうので、同じ考古学者で狡猾さを持ち合わせたフランス人・ベロックを敵のブレインに置く。ここが見事なキャラクター設定だ。

アーク開封の儀を見て、改めて思う。
これはユダヤの血を引くスピルバーグのナチスへの復讐だと。それも人の手によるものではなく「神」の力で。暴力の連鎖ではないスピルバーグ流の復讐=映画こそが彼の武器と『フェイブルマンズ』を思い出した。スピルバーグの反ナチ映画と言えば『シンドラーのリスト』なのだろうが、よりスピルバーグらしさが表出しているのは本作じゃないかな。

ジョーンズ博士には考古学。
スピルバーグには反ナチス。
どちらにも強力なエンジンが備わる。
こういう映画は本当に強い。