れおん

TENET テネットのれおんのレビュー・感想・評価

TENET テネット(2020年製作の映画)
5.0
動き出す銃痕。「そこに存在している」結果が巻き戻る。我々の世界の常識である、原因が結果を生む理は通用しない。『時間』に閉じ込められる謎に迫る。果たして敵は誰なのか、どこに存在しているのか。

クリストファー・ノーラン監督最新作。「メメント」「ダークナイト」「インセプション」「インターステラー」「ダンケルク」。ノーランが描く作品一つ一つ、映画の常識を超えて、圧倒的『映像美と音』の力で、観客の心を響かせる。彼の作品に惹かれるのは、映画という媒体を通して、観客に伝えたいメッセージが込められているから。始まりからエンドロールまで、すべてを目の当たりにすると、現実世界へのパッセージには、生きる糧となるようなメッセージが存在する。

なぜ、多くの観客が本作で難解と感じるのか。
映画とは、こういうものだという固定概念がその人の中に存在するため、ノーラン監督のような映画の常識を覆すような作品を見ると、人々は混乱する。
作品を通して、すべてを理解しようとする必要はない。ましてや、答えなどを探すことも無意味である。
なぜなら、『映画』は答えがあるようなものではないから。
だって、「インセプション」の"最後のコマ"、ノーランは観客に委ねているでしょ。ノーランでさえ、映画を通して、答えを導かない。

逆行とはどのような仕組みなのか。味方と敵は誰なのか。自分は今何を見ているのか。
今作で疑問に思う箇所のほとんどは、「インターステラー」を見ている人には、容易に理解できるであろう。

『起きてしまったことは、変えられない。』
今の自分に何ができるのか、何をすべきなのか。
あなたは何を信じて生きていきますか。
何が一番大切だと思いますか。
ノーランの作品の登場人物には、必ず信念がある。生きる理由が明確に映し出されている。
ゆえに、『メッセージ』が心に突き刺さる。
れおん

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