尾崎

空の青さを知る人よの尾崎のレビュー・感想・評価

空の青さを知る人よ(2019年製作の映画)
3.8
あの花も、ここ叫も、決して嫌いじゃないんだけど、演出というか、あざとさというか、そういうところが、恥ずかしくなってどうにも居心地が悪かった。
この映画も同じ。だけど、軽減されていた。
大変好きなシーンがある。2人のしんのが出会ってから続く、あれ。
青春の真っ只中にいるしんのはなんと伸び伸びとして、曇りなく、開放的なことか!
それに対して中年のしんのの冴えない、気怠げな、閉塞感たるや!
2人が同じ場所を目指す時の対比が、その移動手段の相違が、直接、人生観の差として結びついているようで、その別人っぷりが好きだった。

大人になるにつれ、失っていくもの。得るもの。青春への憧憬。また青春から未来への憧憬。キラキラした青春時代の只中にいる男子に、未来の自分を見せるという鬼畜な所業!
天気の子でも似たようなテーマを扱っていたが、ぼくはこっちのほうが好き。
最終的に大人がかつての自分を思わせる子供を助けるような形の天気の子と、かつての自分、てめえなんかに負けるかと、中年が汗まみれで走り出す空の青さ。

あれはどうしてこうなって、ああなったのかな、とちょっと考えたい場面もあった。
尾崎

尾崎