MasaichiYaguchi

イップ・マン 完結のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

イップ・マン 完結(2019年製作の映画)
4.0
12年に亘る「イップ・マン」シリーズ最新作にして完結編である本作は、イップ・マンによる詠春拳の集大成であると共に、今年生誕80周年を迎えたブルース・リーをそのアクションと共にクローズアップしたものになっている。
この作品でのイップ・マンは病を抱えてハンデがあるとはいえ、ドニー・イェンが繰り出す詠春拳アクションは相変わらずキレキレで、観ているこちらの方もヒートアップしてしまう。
ただ本作はアクションばかりでなく、イップ・マンとその息子との父子のドラマがあったり、主舞台であるアメリカのサンフランシスコで生きる同胞たちの差別をはじめとした辛苦も描かれ、作品にエモーショナルな部分や奥行きを感じる。
差別や分断の中で奮闘する同胞への思い、そういったものを踏みつけようとする者たちへの怒りが、ある意味、本作の原動力になっていて、後半からラストにかけてのイップ・マンの怒涛の対決には思わず息を飲む。
そして完結ということでイップ・マンの技だけでなく魂の継承まで描かれ、ファンには堪らないエンドロールを含め、終盤からは涙が止まらなくなってしまいました。