皿と箸

ひとよの皿と箸のレビュー・感想・評価

ひとよ(2019年製作の映画)
3.8
昨今非常に安定感を増してきている白石和彌監督。

暴力夫を殺して帰ってきた母親との関わり方に苦悩する兄弟たち。という非常にわかりやすい構成を持っていながら、母親が父親を殺した動機や、それが原因で齎されたトラブルをいかに考えているのか、母親の心の内を意図的に隠していることで、興味の持続を支えています。

母の血を最も色濃く受け継いでいる末っ子。
だからこそ一線を踏み越える。

15年を経た今でも、母はなおも母であり、
ある種の不動点として存在するからこそ、今でも兄弟達は辛うじて倫理を保つ事ができる。

ラストは作劇的な見所ではありますが、
それまでの流れの緻密さの方が際立つ作品だったように思います。
皿と箸

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