このレビューはネタバレを含みます
『あの夜はなんだったんだよ。』
暴力を子供に振るう父親を殺した母親。
母親は、15年後に戻ると約束し刑務所へ。
残された3人の子供たち。
15年後、母親が本当に戻ってくるが
空白の15年に戸惑ってしまう4人の家族。
再び家族となることができるだろうか。
白石監督の作品は何作か観てるけど
暴力的で破壊的な作風のイメージだったけど
それを覆すような
いびつな家族愛を描いた作品だった。
「万引き家族」があれだけ評価されたので
ジャンルの方向転換でも試したんだろうかと疑いたくなる。笑
内容はとても良かった。
母親、長男、次男、長女という構成なので
人によって様々な視点で観る事ができるし
大人視点でも
子供視点でも
どちらにも偏らない様に作られているから
誰でも観る事ができる構成は素晴らしいと思う。
感情的な妹以外が
あまり感情を表に出さないで
探り探りな感じというのが
15年ぶりに再会した家族感を凄い感じたし
子供たちのためにと思ってやったことに対して
子供たちから責めるようなこと言われても
母親がけして声を荒げることなく
子供たちを見守ってるのが
愛が深いなと思った。
僕の母親がまったく声を荒げない人でして
(人生で母親に怒られた記憶ない)
ちょっとだけ自分の母親的な雰囲気を感じてしまったから
余計にかもしれない。
◆キャスト
3兄弟の役を
長男:鈴木亮平
次男:佐藤健
長女:松岡茉優
という3人が演じる本作。
この三人で本当に家族に見えるのかという不安を覚える人もいるかもしれないけど
まったく違和感ないのでご安心を。
◆監督コメント
試写後
白石監督が登壇されて少しコメントしてくれました。
キャスティングの件でいろいろな話が聞けたが面白かった。
ここで豆知識。
白石監督は、撮影中にお気に入りのシーンがくると
どれだけシリアスだろうが
ゲラゲラ笑うらしいw
◆不満点
僕の本作の不満点を挙げるなら
やはりラストのカーチェイス。
これについて監督は
・世界観を広げる為
・エンターテイメント性を入れる為
と言ってたけど…
僕はカーチェイス絶対にいらなかった派。
まずカーチェイスが
あまりに唐突すぎて違和感しかない。
3人でタクシーに乗り込むのも
ただ過去のシーンとオーバーラップさせるのをやりたかっただけなのがバレバレ。
シリアス展開できたのに
いきなりエンターテイメントとか言われても
世界観と脚本崩壊で
いままで積み上げた作品感が台無し。
本当にもったいない。
これでスコア-0.5かな。