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デッド・ドント・ダイのSPNminacoのレビュー・感想・評価

デッド・ドント・ダイ(2019年製作の映画)
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オーソドックスというか、由緒正しいゾンビ映画。たまたま当地の劇場では本編前に『ゾンビ 日本初公開復元版』予告が付いてきたので、観る前のちょうど相応しいガイドになってた。何せジャームッシュによるゾンビ映画はロメロ先生の基本を押さえ、律儀なほど原点回帰。要所ではゴブリンのあの音楽もサンプリング(?)されてるし!
Sturgill Simpsonのテーマ曲 “The Dead Don't Die”が最初に流れる頃までに、要旨は大体語られている。我々は既に亡者、腐りかけのゾンビであると。訪れるべくして訪れる終末、呑気な絶望。
小さな街の住人が出揃い、夜のダイナーで犠牲者が出ると、長閑な警察署もやがて事態を察する。これはゾンビだな…となれば話は早い。各自各持ち場で連携を取る訳でもなく、日没から夜明けまでのサヴァイバル戦に。とはいえ、何が何でも生き残ろうとする必死さは足りず、粛々と「嫌な結末」に向かっていくんだった。執着するモノがない森の隠遁者と異邦人(スコットランド人)の葬儀屋はアウトサイダーの傍観者だが、紳士であろうとナードであろうとレイシストであろうと容赦無く喰われるし、頭をチョン切られる。(そういや施設の子供3人組はどうなったっけ?)
たぶん人は3タイプのメガネ“ゾンビ・バスターズ”に分類されそうだ。予め結末を知ってて対処するだけのアダム・ドライヴァーか、知らない場面に出喰わして戸惑うビル・マーレイか。私なら“即興”に放り込まれ、嫌な結末なら見たくないと諦めが早いクロエ・セヴィニーになると思う。今更もう腐りかけだし…いっそゾンビになるか……ロメロ・ゾンビが古典となった今は、そんな気分がしみじみとしっくりくる。
喰われ方はしっかりグロいけど、ゾンビには案外優しく、血飛沫の代わりに砂が噴き出るのが良かった。お約束の3回繰り返しネタ、アダム・ドライヴァーの「Yuck」が最高。ゾンビ対策として、“車はスマートが便利”という項目が新たに加わったよ。
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