鹿苑寺と慈照寺

9人の翻訳家 囚われたベストセラーの鹿苑寺と慈照寺のレビュー・感想・評価

4.4
世界的ミステリー小説「デダリュス」の世界同時発売のために9人の翻訳家がシェルターに集められた。インターネットの接続が禁止され、徹底的に情報の遮断を行う中、出版社社長に本編を流出させるとの脅迫メールが届く。

冒頭の9人の翻訳家が集められていくシーンのスピード感。テンポが良くて引き込まれた。9人と登場人物が多いから混乱するけど、観ていくうちに登場人物1人ひとりの個性があるから問題なく観られるのも良い。

シェルターで翻訳の作業をするうちに出版社社長のもとに脅迫メールが届くところから物語が動き出すわけだけれど、ここから9人がそれぞれ犯人を推理し合う展開になる。クローズドサークルものの小説が大好きだから、それだけでテンションが上がる。

現在と事件後を交互に展開させていくのも好きだし、そこに伏線が張られていて、出版社社長と犯人との面会シーンについて中盤で大きな仕掛けが明かされるところは素直に驚いた。
さらに中盤から終盤にかけてオーシャンズ11的展開になっていく。これもめちゃくちゃ好きだった。トリックにも驚かされた。
ラストもさらに大きな種明かしがあり、とにかく飽きさせない展開。

翻訳家といういわば影の仕事に対する敬意、さらに創作そのものに対する敬意というメッセージ性もあって、90分という映画作品としては短めにも関わらずミステリー要素や謎解き、メッセージ性など詰め込んでいるのに散らかっていないのが本当にスマートだと思う。

めちゃくちゃ面白かった!!!

唯一の難点は、9人の翻訳家のうち一部の存在感が薄くなってしまってるところ。オーシャンズ11的展開のときに9人全員が活躍して欲しかったなあ。

以下はメモ
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インターネットは使用禁止
各国の新聞が届く

翻訳者の1人
手書きで処女作を書く。なんでPCで書かないの?
翻訳期間は他の仕事をするのは禁止らしく、普段は家族がいるから書けない。シェルターにいる時に書くつもりだった。

翻訳者を地下に閉じ込めて家畜のように扱う気か。人間と 創作への敬意を失った。

あの日本製プリンターの印刷速度は世界でも最高水準だ。

オーシャンズ11みたい!!!
なるほど、面白いトリック!!!
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