Kana

9人の翻訳家 囚われたベストセラーのKanaのレビュー・感想・評価

4.0
全世界で愛される小説シリーズの結末を巡って、疑心暗鬼の騙し合いが繰り広げられる、傑作王道ミステリー。

ミステリー好きは絶対に見た方がいい!!
久しぶりに捻ったり気取ったりしないど真ん中どんでん返しミステリーでした。
誰が犯人か?なぜ罪人となったか?いつから?どうやって?謎が謎を呼び映画好きを唸らせる伏線回収祭りの中にも、作品としてのメッセージをきちんと組込む秀逸さ。
普通は王道であればあるほど簡単に先読みできてしまって、後半退屈になってしまうことが多いけれど、しっかりストーリーに引き込まれつつも気持ちいいくらいに騙されたこの作品には大満足です。
「ミステリー」ってただ表と裏をひっくり返したりちゃぶ台返しすれば良いわけじゃなく、そうやって謎を解くまでに複雑な経路を辿らせる正当な理由が必要で、「どんでん返し」がコンセプトのエンターテイメントにしちゃいけないと思うんです。
まずストーリーの根幹があり、それを理解させるために遠回りさせざるを得なかった納得感がないと作品として評価できないし、かつきちんと鑑賞者に伏線を見せなければルール違反だと思う。
見終わってから、もう1回答え合せに見返したくなる映画も久しぶりでした。
本当は一番最初にあのラストを想定したけど、まさかこんなことになるとは…一筋縄ではいきませんでしたね。
一人一人の登場人物にもう少し深みがあればよかったですが、原作なしでこのストーリーを作り上げた脚本家?監督?には脱帽です。
Kana

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